大学受験では必須科目になっており、難関大学を目指す際の試金石になる英語。英語が苦手で難関大学の夢を諦める人がいるなど、英語が鬼門になる人も少なくありませんが、逆に英語を得意科目にするとライバルに大きく差をつけるチャンスにもなります。
高校英語の勉強法や苦手を克服するための勉強法、そしておすすめの英語教材をまとめています。
目次
高校英語の勉強法とは?
高校英語はどのように勉強をすればいいのか、英単語、英文法、解釈、英語長文、リスニングそれぞれの勉強法をまとめました。
英単語編
寝る前に英単語を覚えて、翌朝確認する
人間は寝ているときにその日1日でインプットした情報の整理を行い、浅い睡眠の時にその日の記憶をガチッと固めようとします。4時間半睡眠では3回、6時間睡眠では4回その機会があるので、ある程度の睡眠時間を確保すれば記憶が定着しやすくなるというわけです。
寝る前に英単語を覚えて、朝起きた時に昨日の夜に覚えた英単語を振り返ることで、どれくらい覚えられたのかがわかります。これを毎日ルーティンのようにやっていけば自然と英単語は覚えられます。
英単語を音読して暗記と発音アクセント問題対策
大学入試で時折登場する、発音やアクセントの問題は、普段から英単語を口にしていないと意外と間違えやすく、点数を取りこぼすことがあります。アクセント問題などで取りこぼしを避けることに加え、音読することで単語が覚えやすくなるので、口に出して単語を覚えるようにしましょう。その際、ノートに書きながら、口に出して覚えることでより定着しやすくなります。
接頭語・接尾語で単語の大まかな意味を知る
英単語には接頭語と接尾語があります。接頭語の「re」には、再びという意味があり、リユース、リデュース、リサイクルの3Rを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。「in」には、中にという意味があるなど、接頭語でおおよその意味がわかります。
これは接尾語でも同じです。接尾語「able」にはできるという意味があり、「ful」は満ちたという意味が込められています。このように接頭語、接尾語ごとに覚えていくと覚えやすいほか、万が一長文読解で意味が分からなくても、接頭語や接尾語を見ればおおよその意味がわかります。
英文法編
基本的なルールを見直すために中学の単元からやり直す
英語には文型があり、5つの文型で成り立っています。この文型ごとに英文法が存在しており、5つの文型の語順や和訳の順番がわかっていないと英文法をマスターするのは相当大変です。逆に基本的なルールさえわかれば、あとは単語をきちんと覚えれば英作文や和訳ができます。
基本文型は中学校で行うものですが、英語が苦手な人はここから躓いている可能性が高いです。改めて中学で行う単元に戻り、基本文型のルールから見直してみましょう。そこから英文法の勉強をしていくと、英文法特有のわかりにくさは幾分解消されるはずです。
参考書を1冊に絞る
英文法を勉強する場合、解釈や表現が参考書によって異なる場合があります。言っていることは同じでも、説明する言葉が少し違うだけで同じ英文法を取り扱っているのに、理解しにくくなってしまうことがあるので、英文法の参考書は必ず1冊にしましょう。
できれば説明が理解しやすく論理的なものがおすすめです。あとは基本原理と例外のパターンを学び、ひたすら問題を解き、参考書の説明を読んで理解し、再び同じ問題を解くという流れで進めていくと理解度が増していきます。
解釈編
英文解釈の力を高めるには単語と文法の力を高める
英文解釈とは、英語の文章を正しく読めているかどうかを指します。正しく読むには、英単語と英文法の知識がなければなりません。つまり、英文解釈が苦手な人は単語もしくは文法の力、知識が抜けている可能性が高いです。
どちらが抜けているかは英文解釈の間違い方でわかります。明らかに単語であれば、英単語をどんどん暗記していくべきですし、文法であれば該当する部分を参考書でチェックし直し、同じミスをしないようにすればいいでしょう。
いきなり英語長文にチャレンジする
英文解釈を一文ずつ積み重ねて大きなまとまりになったものが英語長文です。英文解釈の力を高めるには英語長文を読み、単語の用法や文法の使われ方を理解することで、英語解釈の精度を高めていくことができます。
英語長文がスラスラと読めるようになれば、1つ1つの文章も正しく読めるようになります。あとは単語と文法の力を高めていきましょう。
英語長文編
スラッシュリーディングをマスターする
スラッシュリーディングは、順番通りに読み進める方法で、同時通訳を行う人が使っている技法です。日本語に置き換えると順番の入れ替えが生じますが、英語の語順のまま和訳をしていくと読み返す必要がなくなります。
スラッシュリーディングをマスターすると長文読解の理解スピードが上がるほか、リスニング能力がアップすると言われています。リスニングは英語の語順で理解しなければならないためで、スラッシュリーディングをマスターすることはリスニングにも貢献します。
長文読解の際に短く区切っていくことを心がけ、あとはどんどん解いていくことを心がければ、英語の語順で英語を理解することができるようになります。
全てを和訳してから、辞書で正しい和訳を調べる
長文読解で大事なのは復習です。正確に内容を把握する癖をつけておかないと、時間制限の中、大まかに読み進めておおよその内容を把握する際に、とんちんかんな解釈をしてしまうことがあります。そのため、英語長文を勉強する際は、何を見ずに自分の力で和訳を行い、その後、辞書を使って正しい和訳を調べることで単語の間違いや文法の違いなどに気づけるのです。
あとは間違えた部分を改めて覚え直し、時間を置いて再び解き直します。そこでほぼ完ぺきに和訳ができたのか、同じ場所で間違えたのか、別の場所を間違えたのかなどを見て、精度を高めます。
リスニング編
シャドーイングを行う
英文を聴いた後、聴いた英文と同じように発声を行うことをシャドーイングと言います。まず何を言っているのかを知り、それがどんな意味かを理解してリスニングが成立します。リスニングが苦手な人は、何を言っているのか知らないか、どんな意味かよくわかっていないか、この2つに分けられます。
苦手な人は正確に言葉を聞き取ろうと必死ですが、必死に聞き取ろうとするあまり、肝心の内容理解が疎かになってしまいます。シャドーイングを行うことで、必死に聞き取ろうとしなくても負荷をかけずに聞き取ることができるようになり、その分を内容理解に回せます。
シャドーイングを行う際は最初に文章を理解し、わからない単語や文法の意味を知るところから始めます。その上で音声を聴き、聞こえたものをただモノマネすればいいのです。その時に完璧な発音は必要ありません。できればそれを録音し、聴き直してみてネイティブスピーカーとの発音の違いを確認するのもいいでしょう。
ディクテーションを行う
ディクテーションとは、英語を聞き取り、それをノートに書いていく勉強法の1つです。音声だけが頼りなので、正しく描くには、英語を正しく聞き取る必要があります。聞き取る意識を高めることで、リスニング力を高められます。
もし聞き取れないものがあれば単語を知らない可能性があり、改めて原文を見てその単語を覚えていきましょう。シャドーイングとディクテーションを繰り返すことが、リスニング力アップには欠かせません。
高校生の場面ごとの英語の勉強法
高校生は様々な場面で英語を勉強します。授業の時からテスト前、そして英検前の勉強法をまとめました。
授業時
事前に予習を行う場合には見開き2ページの左側に英語の本文、右側に和訳を書きます。学校によっては、授業前にあらかじめそのようなノートを作るように生徒に伝えているところもあります。
ノートを作る際には1行ずつ空白を開けて、文章構造や文法などの情報を書き込めるようにします。そして見開きの中央部に余白を残し、その余白にわからない単語を書き込みます。左側には英単語、右側には日本語訳を入れます。あとは先生の説明などを書き込んでいけばOKです。
定期テスト前
定期テスト前は、基本的に授業で作り上げたノートを見てテスト勉強を行います。その時にわからなかった単語や文法、日本語訳などをチェックします。問題の出し方は先生によって違いますが、日本語訳の問題や単語、文法などおおよその出題傾向はあまり差は見られません。
裏を返せば、授業中にしっかりとノートを取っていないと定期テストの勉強がとてもしんどくなります。英単語や文法などはしっかりと覚えて取りこぼしがないようにしましょう。
実力テスト前
模試では長文読解が出てくるので、長文読解の対策が必要ですが、それ以前に、覚えておくべき単語や文法などが不足していることが考えられます。少なくとも今まで教科書で登場した単語や文法ぐらいは完璧にしておき、それと別に「ターゲット1900」に代表される単語帳を駆使して日ごろから単語を身につけておきましょう。
共通テストや前身のセンター試験でも、時間配分を間違えて不十分な出来になった学生が数多くいます。時間制限を設けて長文読解の練習を行うほか、実力テスト後に答案が返ってきた場合は、改めて解き直してみて、解説を読みながら精査することをおすすめします。
英検前
英検では単語や熟語、英文法、長文読解のほか、英検2級では英作文が登場します。自分の意見と理由を述べるという形式で、正しい英文で書けているか、意味は間違っていないかをチェックされます。英検の勉強は、英検対策の参考書を購入しそれを完璧にするのが一番手っ取り早く、見当はずれなことにはなりにくいです。
英作文対策ですが、まず日本語で意見を書き、理由をまとめるところから始めましょう。日本語でまとめられなければ英語でまとめられるはずがないからです。英検の予想問題集で英作文にチャレンジし、解説を読んでチェックし、ネットの予測変換にかけてみて意味が通じるかどうかも確認してみましょう。不安であれば学校の先生に見せるのが一番です。
英語が苦手な高校生が苦手を克服するための勉強法
中学時代から英語が苦手だった人は高校に入るとさらに苦手になるものです。苦手な英語を克服するための勉強法をご紹介します。
基礎を固める
英語は基礎がしっかりしていないと次へは進めない教科であり、数学と似たものがあります。中学レベルのところで躓き、それが伝染していくため、中学レベルに戻ってそこから立て直す必要があります。基本文型や単語からやり直していくと、基礎は固められ、そこまでの苦手意識がなかった人も改めてやり直す価値はあります。
高校レベルの基礎固めもさほど変わりません。中学で行った文法をベースにアレンジしており、中学で学んだ文法を改めて学習して丁寧に学んでいけば基礎は固められます。
苦手意識がなくなるまで文法を覚えず単語だけ覚える
長文読解に関して単語さえ覚えていれば、どんな文章が書かれているのかだいたいわかるようになっています。単語をとにかく覚え、文章を読み進めていき、それが合っていれば英語に関する苦手意識は幾分かは和らぎます。国語でも知っている言葉がたくさん出てくれば、小説もスラスラと読めるように、英単語を覚えることは長文をスラスラ読めることにつながるのでおすすめです。
もちろん単語だけでは大学入試で太刀打ちするのは難しく、英文法などもしっかりと学習していく必要があります。ですが、長文読解ができるようになる喜びを経験してからであれば、英文法に我慢強く取り組むことができるようになるはずです。
ラジオの英語講座に取り組む
NHKラジオ第2では様々な英語講座が行われています。小学生の基礎英語や中学生の基礎英語など学生向けの英語講座があるほか、さらに難しいレベルに設定された講座もあります。午前6時など朝方に放送されることもあり、学校に行く前に講座で勉強をする学生もいるほどです。
基礎レベルからやり直すことができ、ラジオがなくてもスマホのアプリで簡単に聞けるのも魅力的です。本屋で英語講座のテキストが売られており、毎月500円程度で購入できるので気軽に始められます。まず、1回聞いてみることをおすすめします。
【高校英語の勉強法】おすすめの英語教材10選
高校英語を勉強する際には様々な英語教材があります。ここでは厳選した10の英語教材をご紹介します。
英単語のおすすめ教材
英単語ターゲットシリーズ
英単語ターゲットシリーズは英単語集書店売上ナンバー1を記録する英語教材で、入試に出やすい「でる順」で構成され、1200、1400、1900があり、志望する大学のレベルに応じて選べます。
英単語を1つでも多く覚えたい場合にはターゲット1900がおすすめで、他にも基本となる英単語や熟語を覚えたい場合には「基本英単語・熟語ターゲット1100」があり、中学レベルからやり直すのに適しています。
システム英単語
システム英単語は、25年分の大学入試や資格試験の問題、中学高校の教科書など様々なデータを駆使し、掲載される英単語を厳選した英語教材です。シス単の名前で愛されており、ターゲットシリーズと双璧をなす存在です。
ターゲットシリーズが1つの言葉に1つの意味で書かれているのに対して、システム英単語は複数の意味で書かれています。システム英単語は丁寧に英単語を勉強したい人向けです。
英文法のおすすめ教材
総合英語Evergreen
総合英語Evergreenは、基本の説明から段階的に難易度を上げていき、より深いところまで英文法を理解出来るようにする英語教材です。教材に書かれている例文は音声のダウンロードが行え、耳で聴いて覚えるほか、シャドーイングを行うなどリスニング対策にも使えるスグレものです。
中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。
「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。」は、中学で学ぶ英文法をイチから学び直したい高校生や社会人向けに作られた英語教材となっています。英文法の入門書であると同時に、完全にマスターすることで基礎固めにつなげられるため、英語が苦手な人、今一度英文法の見直しをしたい人は、購入したら何回も解いて完全攻略を目指しましょう。
解釈のおすすめ教材
英文解釈の技術シリーズ
英文解釈の技術シリーズは、英語を苦手とする人から英語を得意とする人まで幅広い人を対象にした英語教材となっています。入門英文解釈の技術70は中学生でも解けるような内容になっているものの、やり込むことで共通テストで高得点が狙えるなど、基礎固めに最適です。
基礎英文解釈の技術100、英文解釈の技術100は偏差値60以上、国公立大学や医学部を狙う人向けになっており、英文解釈の参考書はこのシリーズを買っていけば事が足ります。
ビジュアル英文解釈
ビジュアル英文解釈シリーズは、英文解釈を基礎から学びたい人に向けて作られた英語教材です。Part1とPart2があり、Part1は中学レベルの英単語と英文法が頭の中に入っていれば対応できるレベルになっています。「直読直解」をモットーにしており、和訳のために読み直す必要がなく、英語の語順で意味が読み取れるのが特徴です。
解説がわかりやすく、イラストをふんだんに使い、会話形式で展開されていくことから英文解釈を苦手とする人におすすめです。
英語長文のおすすめ教材
英語長文レベル別問題集シリーズ
英語長文レベル別問題集シリーズは、中学英語の総復習から難関私大まで段階別にまとめられた英語教材です。一番易しい超基礎編は中学英語の総復習から始められるので、英語が苦手な高校生が英語長文に慣れるのにぴったりな教材となっています。6段階までレベルが分かれており、1冊制覇すれば、1つ上のレベルに上げて取り組み続けることができます。
入門英語長文問題精講
入門英語長文問題精講は、英語長文問題精講シリーズの中でも一番易しいレベルとして作られた参考書です。ただ一番易しいといっても偏差値50以上を必要とします。長文の収録数がとても多いことや多彩なジャンルが掲載されており、苦手とするジャンルの特定につなげられます。また記述問題も多く、英文読解の理解力を深めることにもなります。
リスニングのおすすめ教材
Mr. Evineのリスニング力向上ブックシリーズ
Mr. Evineのリスニング力向上ブックシリーズは、音声がだいたい30秒にまとめられ、様々なシチュエーションが用意されていて飽きさせない作りになっている教材です。文章自体は文法を意識した内容になっており、シャドーイングやディクテーションでリスニング力を高めるだけでなく、英文法の勉強にもつながります。
速読速聴・英単語シリーズ
速読速聴・英単語シリーズは、長文を読んだり聴いたりする中で英単語を覚えていく教材です。付属のCDがついており、本文の内容をあらかた把握してからシャドーイングなどを行うとリスニング力がつくと評判です。TOEICテストや英検の二次試験対策にもなるなど、幅広く使えます。
英語の勉強法がわかる本10選!英語勉強本を選ぶポイントも解説
まとめ
高校英語で躓き、中学英語からやり直すことはプライドが傷つくかもしれません。しかし、確実に穴を埋めて基礎を固めてから英語を学ぶと、英語の楽しさや面白さ、スラスラと解ける快感が相まって遅れを一気に取り戻すことができます。苦手科目に取り組むのは苦痛でも、得意科目であれば苦にせず勉強ができるため、中学英語からやり直す価値は十分にあります。今回紹介した英語教材や勉強法を参考に、英語の基礎固めやレベルアップ、苦手克服に励みましょう。