国語や英語、地歴公民の3科目を中心に大学受験に挑むのが文系です。文系が大学受験に挑む場合、どんなことに注意をしていけばいいのか、気になるところです。
今回は文系の大学受験の勉強法にスポットを当て、受験勉強を始める前にやるべきことや学年別の勉強スケジュール、勉強計画などをご紹介します。
目次
文系が受験勉強を始める前にやるべきこと
文系が受験勉強を始める前に色々とやるべきことがあるので、ご紹介します。
学習計画(スケジュール)を立てよう
まずやるべきことは学習計画を立てることです。英単語をいつまでに終わらせるか、古文文法や漢文の句法、返り点をいつまでに覚えるかなど1年間の学習計画を自分で立てて、それを実行していくことが必要です。やるべきことが明確になれば、あとはそれを実行し続けるだけです。
【事前準備】学習計画を立てる前にやるべきこと
❶自分の現在の実力を把握する
学習計画を立てるためにはスタート地点とゴール地点を定める必要があります。この場合のスタート地点は、現状の実力です。偏差値がいくつで、何を得意として何を苦手にしているのかを明確に示すことで、スタート地点が定まります。
❷志望校のレベルや傾向を知る
次にゴール地点を明確に定めます。この場合では志望校のレベル、志望校の学部の傾向などをチェックし、最終的にどこを目指すかを決めます。単にその大学に入りたいのか、特定の学問を先行したいのかで志望校選びも変わりますが、いずれにしても第一志望の志望校をゴールにして、あとは前に進めるような状況にしていきましょう。
❸志望校合格のためにやるべきことをすべて洗い出す
スタートとゴールが決まったら、あとはどのようにゴールまで突き進むのか、その方法を探ります。志望校合格に必要なモノをリスト化し、1つ1つ勉強を重ねてそれをゲットしていき、志望校合格に近づけていくことができます。リスト化したものを中心に計画を立てていく流れです。
文系が学習計画を立てる際のポイント
英語を最優先に組み立てる
私立文系を受ける場合は、英語と国語、あとは地歴公民の3科目で受けることになるでしょうが、配点を含めて一番メインになるのが英語です。英語の出来が合否を大きく左右します。そのため、英語を最優先に考え、英単語や文法、解釈、長文読解などなるべく時間をかけて計画を立てていく形がいいでしょう。特に地歴公民は得意科目を受験科目にしがちなので、時間を大きくかけなくても基礎固めに時間がかかる可能性は少なく、心配はいらないでしょう。
検定もうまく活用して組み込んでいく
英語であれば英検、国語であれば漢検とそれぞれに検定があります。特に英検は準2級、2級と段階的に勉強をしていくことでおのずと受験対策につながるでしょう。これを利用しない手はなく、英検2級を目指して高1から英単語や英文法の勉強を行っていくと、高3の春先から演習問題に取り組むことができます。漢検に取り組むことで語彙力アップにもつながるので、高1から高いモチベーションで勉強できるのは大きいです。
科目ごとに目標偏差値を設定する
全ての科目で満遍なく結果を出せればそれに越したことはありません。しかし、英語や国語を苦手とする人もいるので、等しく同じ偏差値を目指すのは大変であり、現実的とは言い難いです。例えば英語なら偏差値60、国語なら65と設定し、英語で偏差値60を目指すなら何をしないといけないかと逆算で考えられるようになると、素晴らしい計画が立てられるはずです。
文系の大学受験の勉強スケジュールを学年ごとに解説
文系の大学受験の勉強スケジュールに関して、高1、高2、高3それぞれの学年ごとに解説します。
高1
春先は中学の内容から振り返って苦手をなくす
数学を始め、中学の内容から躓いているために高校の内容がうまく入ってこないケースがよくあります。この場合は早めに中学の内容から振り返り、参考書を使って穴を埋めていく作業がおすすめです。早ければ早いほど修復しやすく、高2、高3で苦労をせずに済みます。
定期テスト対策を通じて基礎を固める
難関大学を目指すとついつい先取り学習をしがちですが、実際に難関大学に入った人たちは先取り学習はそこまでしておらず、むしろその日までに学んだ内容を復習し、1つ1つ知識を重ねていくことに力を入れています。一番やりやすいのが定期テスト対策。定期テストで点数を取るためにやるのではなく未来を見据えて行うと基礎を固めやすくなります。
夏休みの補講があれば積極的に受ける
進学校によっては夏休みに補講があり、夏休みに勉強計画を立てたくても補講を理由にそれができない人もいるようです。事実上夏休みに授業を行うようなものなので、受けざるを得ないのが実情です。しかし、高1だとまだ夏休みに猛勉強をするモチベーションが乏しくなりやすいため、補講があるのであれば積極的に受けるのがおすすめです。
模試は積極的に受けて活用する
模試はマーク模試、記述模試など色々なタイプがありますが、できる限りの模試を高1から受けることをおすすめします。本来の実力が出るのが記述模試、時にびっくりするような点を出せるのがマーク模試なので、この2つを比べながら足りている部分そうでない部分を吟味するのがいいでしょう。そして、100点になるまで何度でも解く、受けただけでは終わらせないことを意識するのがいいです。
テストごとに目標を定める
高1の時に習慣化しておきたいのが、テストごとに目標を定めることです。例えば定期テストで学年5番には入りたい、模試でこれくらいの偏差値をとりたいなど、1つ1つのテストに目標を設定しそれをクリアできるように勉強に取り組む習慣をつけていきましょう。全てが意味のある勉強になるため、モチベーションを落とさずに済みます。
高2
春先は高1の内容を振り返って穴を埋める
高2になると高1で行った内容の発展的なモノが多く出てきます。理科であれば○○基礎から基礎を抜いたものを専攻し、数学であれば数学2Bが出てきますが、1年生の内容ができていないと発展的な分野で大きく躓きます。高1の内容を振り返り、穴を埋める作業は春先までに終わらせましょう。
高2では基礎固めを徹底する
高3の夏までに基礎固めを終わらせるのが理想ですが、高3の春でゼロスタートだと非常に厳しく、高1高2で基礎固めを始めたから間に合う部分もあります。ですので、先取り学習はせずに、基礎固めを徹底することを心がけましょう。
私立か国公立かを定める
私立であれば国語英語社会の3科目、国公立であれば数学も理科も加わり、社会は2科目行うことになります。高2の時期で私立を受けるのか国公立を受けるのかを決める必要があります。そして、科目を含めて定めてしまえばあとはそれを取り組むのみ。できるだけ夏休み前に決めるのが理想形です。
定期テストに力を入れる
指定校推薦を狙う場合に定期テストに力を入れることは当然ですが、それ以外の人にとって定期テストはそこまで重要ではないかといえばそうではありません。結局定期テストは教科書の範囲から出題されるため、大学入試とやっていることは変わらないからです。定期テストで結果を出せば当然模試でも結果が狙えます。定期テストに力を入れて取り組むことは確実に入試につながるので、積極的に取り組んでいきましょう。
共通テスト翌日にその年の共通テストを解いてみる
予備校によっては共通テストの想定問題を高2に解かせて、どれくらいできているかを調べています。今の立ち位置を知る上で確かにやっておいて損はありません。近年は予備校のホームページに問題が出され、解答や解説も見られます。翌日に共通テストを解いてみて、このままでは足りないと思うことができれば、それは正しい危機感と言えます。
高3
春先までに基礎固めは終わらせる気持ちを持つ
春先までに基礎固めを終わらせる意識を強く持っておきましょう。実際に春先までに基礎固めを終わらせることができるかは微妙で、定期テストの兼ね合いもあるので実際は夏休みまでかかってしまうことがあるからです。しかし、「夏休みまでに終わらせればいいや」という考えを持つと春先は基礎固めにそこまで力を入れない可能性があるので、できるだけ春先に終わらせる気持ちを持ちましょう。
最後まで定期テストを優先する
高3になり、大学受験が活発になるとついつい定期テストを軽く考えがちですが、科目によっては共通テストや私立入試の科目を学んでいることもあるでしょう。国語や英語も高3の内容が出てくることも当然あるので、定期テストは疎かにせず最後まで真剣に取り組みましょう。
国立私立それぞれの第一志望校に合わせて勉強する
経済的なこともあって、そこまで数多く大学を受けることはできず、多くても5つぐらいかもしれません。国立1校私立4校とした場合、それぞれの第一志望校に合わせて勉強を行うのが効率的です。確かに大学によって問題の傾向は異なりますが、単純に出題の出し方の違いであり、必要な知識は変わりません。一番上の志望校に合わせて勉強をすれば、他の大学の試験も十分に対応できるので、それぞれの第一志望に特化するのもおすすめです。
予備校に通えるのであれば積極的に通う
高3になると周囲が予備校に行き始め、自習室で学ぶ人も出始めます。ライバルが周りにいて意識した方が結果を生むこともあります。自分が苦手とする科目、強化したい科目に絞って通うのがおすすめです。
直前でもリズムは崩さない
受験直前になると長い時間勉強をしようとしがちですが、せっかくの生活リズムを崩すことは得策ではありません。ただでさえストレスがかかり、体調を崩す人もいる中で、生活リズムを崩すことは自ら体調不良を願っているようなものです。直前だからこそこれまでの勉強スタイルを崩さないことが重要です。
夏休みなどの長期休暇中は何をやればよい?
とにかく勉強量を稼ぐ
部活において、顧問や監督が鬼に思えるほど厳しい練習を課されることがあります。これは決していじめているのではなく、「これだけの厳しい練習をしたのだからライバルに勝てる」という自信につなげるためであり、それだけ強くなるために頑張ったのは事実です。勉強にも同じことが言えて、夏休みに必死に勉強をした事実は間違いなく、次につながり、自信にもなります。逆に遊んでしまうと後でかなり不安になるものです。
基礎固めが最優先
実際に現役合格を果たした人たちのアンケート結果を見てみると、夏休みで重視した学習として、基礎固めに最優先に取り組んだ人は全体の6割に及び、苦手克服、暗記などを圧倒しました。苦手克服と暗記はその次に続きましたが、明らかに基礎固めが大事であることがわかります。教科別で見ても、英語であれば英単語、国語であれば古文の暗記などベースを固めることに力を入れる様子が見てとれます。(参考:大学受験パスナビ)
夏休みの初めと終わりに過去問を解いてみる
夏休み期間中は必死に勉強を行い、基礎を固めていくことが大切ですが、夏休みの初めと終わりに過去問を解いてみることをおすすめします。最初はあまりできなかった内容でも、夏休みの終わりに解いてみると意外とできるかもしれません。そうなれば夏休みの学習の成果を実感できるでしょう。意味のある勉強をずっとできていたことが分かれば、その自信は相当なものになるはずです。
受験期の文系の勉強計画を志望校ごとに解説
受験シーズンはどのように勉強計画を立てるべきか、国立文系、私立文系に分けて解説します。
国立文系志望の場合
4~6月
全体的に基礎固めを行っていき、夏場から演習問題に取り組める状態を目指します。特に英語は英単語や文法をできる限りインプットしておきたいところです。数学も同じで、公式などを使えるようにしておくと後が楽です。国語や地歴などは過去問を使ってアウトプットを行い、足りないものを確認するのがいいでしょう。
7~9月
この時期で基礎固めを終えて、共通テストなどの対策を立てていきます。できる限り演習問題を解いて様々な切り口の問題に備えるのが9月までにやるべきことです。これとは別に、国立の2次試験に向けた対策が必要で、記述問題に耐えられるよう、参考書を使って練習を重ねていくのがいいでしょう。
10~12月
共通テスト対策と二次試験対策をセットで行います。ここからは時間を意識した解き方、コツを身につける必要があります。また志望校によっては出題傾向がはっきりと分かれる分野もあり、適宜対応していくことも必要です。基礎固めが既にできていれば、後は経験だけが重ねればいいので、できるだけ演習問題を解いていきます。
12月~受験
12月以降はいかに過去問を解けるかにかかっています。共通テストまでの期間は共通テストのことを中心に考え、共通テストならではの出題パターンに対応できるようにします。それが過ぎれば国立2次に備えた勉強に切り替えればよく、科目数が絞られる分、1科目あたり濃厚に勉強が行えるようになります。
私立文系志望の場合
4~6月
6月までに基礎固めが終わるのが理想的です。英語であれば単語や文法はある程度頭に入っている状態にし、国語も語彙力を身につけ、演習を適宜こなす具合でいいでしょう。社会系は通史を念頭に置いた勉強で十分です。
7~9月
模試を活用しどれだけ基礎固めができているかをチェックし、できていない部分を早急に固めていきます。これは全ての科目に当てはまります。模試を含め、解きっぱなしにはしないようにし、解説を読み込んで自分の力で満点にするようなスタンスで臨むのが理想です。
10~12月
この時期から過去問や演習問題を徹底して解いていきます。基礎固めができていれば初見の過去問や演習問題もなんとなくいけそうな気持ちで臨めるはずです。共通テストの過去問をしっかりと解きながら私立大学の受験日程がバッティングしないよう、調整を行うようにしましょう。
12月~受験
12月以降はとにかく過去問を解きまくることに尽きます。共通テストが終わるまでは共通テスト、それが終われば私立大学の過去問を徹底的に解く流れです。解いて次に行きたいところですが、解説を読み込んでできるだけ少ない回数で満点が取れるようにしていきましょう。
文系の大学受験勉強法を教科ごとに解説
国語
他の科目にも影響を与える読解力ですが、まず漢字など語彙力をつけ、知らない言葉をできるだけ減らして読解問題でのストレスを減らします。あとはひたすら問題を解き、解説を読んで解き方を学び、完璧に解けるまで何回も繰り返すことをしていれば次第に読解力が身につきます。読み方のコツなどが身についてくれば一気にレベルが上がります。
数学
文系の中では苦手科目になりやすい数学では、まず苦手科目にならないよう、基礎から見直しを行っていくのが第一です。「他の科目でカバーすればいい」という考えよりも、他の科目で好結果を出したのに無駄にしないようにすることの方が重要です。必要であれば中学時代の内容から取り組むなど基礎を固める作業は必ずするべきであり、それができたらあとは演習を行うのみです。
英語
英語が一番重要な科目になるので、英語で得点を稼ぐつもりで勉強を行うのが一番効率的です。英語が苦手な文系も多いですが、これだと先が思いやられます。英語が苦手な人は基本的に語彙力に欠けており、高1の時から英単語や英文法に力を入れてベースを作っておけば、自然と苦手意識が消え、積極的に取り組めるようになるでしょう。
理科系
国公立大学を志望する文系にとって鬼門になりやすい理科系科目。数学と同様、苦手科目にしないよう、基礎から積み重ねていくことが重要です。文系は理科系1科目のケースが多いので、暗記である程度乗り切れる生物を利用し、社会系と同様に知識をつけていくのがいいでしょう。
社会系
社会系は国公立志望だと2科目を受けることがほとんどになるので、得意な科目とそこまで得意ではない科目を受けることになります。とはいえ、暗記系科目が中心なので、いかに効率よく暗記を行うかがポイントになるでしょう。学習計画を立てて、得意ではない社会系科目に時間を割きながらインプットやアウトプットを行うのがおすすめです。
文系の受験勉強における科目ごとの時間配分を解説
受験勉強において科目ごとにどのように時間を配分していけばいいか、国立文系、私立文系、それぞれで解説します。
国立文系の場合
高1時の理想的な科目時間配分
高1では、部活を行うのであればだいたい2時間から3時間が1日の勉強時間になります。国公立は英国社の3科目だけでなく数学や理科系科目も入ります。私立を受験することも想定し、優先は英語と国語、その次に数学、以下、理科と社会という具合に考えていきます。できれば最大2科目とし、英語と国語であれば半々、英語と数学なら英語2時間、数学1時間という具合に変えていくのがいいでしょう。理科と社会はスキマ時間で勉強していくのが効率的です。
高2時の理想的な科目時間配分
考え方は高1と同じですが、数学はより発展的な内容になり、躓きやすくなります。場合によっては英語と国語、数学の3科目を優先的に勉強していくほか、理科と社会に関しても何日かおきにまとまった勉強をする方向性で勉強していくのがいいでしょう。やはり最大2科目とし、英語2時間理科1時間のような配分がおすすめです。
高3時の理想的な科目時間配分
部活も終わり、最低でも6時間の勉強時間が確保できるようになった場合、やはり英語は最優先で考えていきましょう。6時間の内4時間、全体の3分の2を使って得点力を高めます。残りの3分の1のうち、国語と数学で半々に分け、1日3科目勉強するのがいいでしょう。理科と社会はなるべくスキマ時間で勉強し、英国数に行き詰まったら理科社会を行うような考え方がおすすめです。
私立文系の場合
高1時の理想的な科目時間配分
私立文系の場合も1年2年は3時間の勉強時間の中で考えていきます。この場合は英語と国語に重きを置き、英語と国語で半々にするか、苦手克服を目指したい科目を多めにさせ、例えば3時間勉強するのであれば「2時間は英語」、「1時間は国語」という配分も行えます。また1科目に3時間使うのもおすすめで、基礎の完成に近づけられます。
高2時の理想的な科目時間配分
高2に関しても高1の時と考え方は同じですし、1日の勉強時間もおそらく大差はないはずです。一方で、苦手意識がより鮮明になりやすく、1科目に3時間を費やして苦手を克服し、基礎を固めるようなやり方もいいでしょう。私立文系は3科目で済むことがほとんどなので、贅沢な時間の使い方ができます。
高3時の理想的な科目時間配分
高3にもなれば部活も引退し、多くの時間を割くことができます。6時間確保できた場合は、最優先の英語に半分以上の時間を使い、残り2科目で半々に分けるやり方がいいでしょう。例えば英語を4時間にして、国語と地歴公民を1時間ずつにするのもアリです。また夏場までは英語と国語をメインとし、夏を過ぎてから地歴公民の勉強を本格的に稼働させた場合には先ほど紹介した配分で勉強していくのもいいでしょう。
まとめ
大学受験のスケジュールは文系と理系で考え方が異なり、英語も数学も理科系科目も必死に勉強しないといけない理系と比べれば、文系は楽に感じるかもしれません。いかに効率的に結果を出していくか、そのためには計画をしっかりと立てていき、時に修正を重ねながら実行に移し続ける精神力、志望校合格に対する信念を持ち続けていくことが必要です。