大学受験に挑むにあたり、大切になってくるのがスケジュールです。スケジュールは勉強時間や勉強の計画色々な意味合いが込められていますが、これを決めるか決めないかは大きな違いです。
今回は大学受験の勉強スケジュールの立て方にスポットを当て、理想的なスケジュールやスケジュールの立て方などを詳しくご紹介します。
目次
【事前準備】大学受験の勉強スケジュールを立てる前にやるべきこと
❶自分の現在の実力を把握する
まず確認しておきたいのは現在のポジションです。偏差値50近辺にいて60以上の大学を目指す人もいれば、偏差値60があるので国公立大学を目指す人もいるでしょう。実力を把握することは計画を立てる上でとても大切であり、スタート地点を明確にする意味合いがあります。
❷志望校のレベルや傾向を知る
スタート地点が明確に決まったら、次はゴールを明確にします。この場合のゴールは志望校合格です。志望校のレベルや傾向を理解して、ゴールを明確にしてしまえば目指すべき道がしっかりと見ながら勉強ができます。できるだけ1度決めたら変えない、これを守って取り組んでいきましょう。
❸志望校合格のためにやるべきことをすべて洗い出す
スタートとゴールが決まったら、いよいよルート決めです。現時点で自分に何が足りていないのか、何を補うべきなのかを洗い出していき、1つ1つ潰していきましょう。それが見えてきてようやく勉強のスケジュール、時間の確保を考えられるようになります。
大学受験の勉強スケジュールの立て方を徹底解説
大学受験の勉強スケジュールはどのように立てればいいのか、1年、1か月、1日に分けて解説します。
年間スケジュールの立て方
ステップ❶:学校のイベントや部活動引退の時期をチェックする
部活動に入っていることで、多くの時間が制約されてしまいます。また学校のイベントでも時間を割かれやすく、特に熱心な学校だと、イベント準備の合間にスキマ時間で勉強しようとする生徒を叱り付けるケースも。このあたりのイベントは事前に確認しておくと、すべてが想定内の中でスケジュールを立てられます。
ステップ❷:ざっくりといくつかのブロックに分けてその中で予定を決める
高3の場合、1学期、夏休み、2学期、共通テスト直前などいくつかのタイミングがありますが、そこでざっくりと何をやるべきか決めていきましょう。例えば1学期なら基礎固めの徹底、夏休みは基礎固めの徹底プラス問題演習という具合に、大まかにやるべきことを決めて方向性を定めればブレることはありません。
ステップ❸:ブロックごとに計画を立て中間目標を定める
例えば夏休みを迎えるまでは徹底的に基礎固めを行うとします。すると、基礎固めのために参考書を解き切るなどの行動が見えてくるはずです。そして、中間目標を定めるのがおすすめです。参考書を2周して解き切るなど具体性のある目標にしておけば、万が一遅れても夏休みでリカバーすればいいからです。中間目標をクリアさせるために、月間スケジュールを立てます。
月間スケジュールの立て方
ステップ❶:中間目標をクリアできるスケジュールを立てる
例えば高3の夏休みまでに数学の黄色チャートを2周終わらせることが中間目標だったとします。4月から7月中旬まで終わらせるとした場合、少なくとも5月までには1周、残りでもう1周が理想的なスケジュールです。そして1か月半周が明確な目標になります。では、黄色チャート半周を1か月で達成するにはどれくらい時間が必要か、これを算出し、スケジュールを立てていきます。
ステップ❷:科目に優先順位を決めて調整する
1科目ごとに計画を立てていくと、必ずといっていいほど時間が足りなくなります。睡眠時間を削って時間を作り出すやり方もありますが、これを長く続けると精神的不調を含め、どこかで問題が起こるでしょう。時間に限りがあるため、まず何を優先すべきか科目に優先順位をつけ、それを最優先して取り組みます。苦手な英語をメインにするのか、点数を伸ばしたい数学を最優先するのかを決め、スケジュールを立てます。
ステップ❸:遅れたら次に積み残してリカバーできるスケジュールを立てる
コロナ禍だとワクチン接種の副反応で動けない人が多数出ましたが、予期せぬアクシデントで1日2日勉強できない日があります。また学校で疲れ、1時間ぐらいしか勉強できないなど、少しずつの遅れが重なっていくこともあるでしょう。これをすぐに挽回するのは負担がかかるため、夏休みまでの計画であれば次の夏休みの時期にリカバーするようなスケジュールを立てるのがおすすめです。またあまりにも遅れているようであれば、緊急的に1日丸々1科目だけ取り組む、得意科目の勉強をお休みするなどの策もあります。
1日のスケジュールの立て方
ステップ❶:就寝時間を決める
学校に行くため、自然と起床時間は決まってきます。一方、就寝時間は意外とバラバラで、ついついゲームなどに熱中して気づいたら深夜2時まで起きてたなんて人もいるでしょう。スケジュールを立てる際に就寝時間を決め、睡眠時間を確保するのがおすすめです。これを決めないと、遅れを取り戻そうと睡眠時間を削ってまで対応しようとしがちです。これだと長い目で見た時にダメージが蓄積され、頑張りたい時に頑張れなくなるので、就寝時間は決めましょう。
ステップ❷:できるだけ固定し、時間割みたいに組み立てる
人間は習慣化すると、その通りにやらないと気持ち悪く感じます。あれだけ辛かったダイエット、筋トレも3週間も続けていけばそれが習慣化し、筋トレをしないと気が済まない体になります。例えば寝る前の2時間で黄色チャートに取り組む、夕飯までは英語に取り組むと固定したり、時間割で火曜前半は数学、水曜後半は国語と決めていくとモチベーションが維持されやすくなるでしょう。
ステップ❸:1日のノルマを無理に設定しない
1日のノルマをついつい設定しがちですが、時に理解に時間がかかることもあります。無理やりノルマを定め、その通りにこなそうとすれば理解を全然していないのに量だけこなし、体裁を整えるだけに終わります。これでは意味がありません。理解できるまで時間をかけ、それで遅れたらどこかでリカバーすればいい、それよりも基礎を固めるのが最優先という考えで臨むべきです。
大学受験に向けた高3の理想的な年間スケジュールを紹介
大学受験に向けて高3の時はどのように過ごせばいいか、理想の年間スケジュールをご紹介します。
4~6月
春先はとにかく基礎固めを行っていくのが理想です。英語なら単語に文法、数学ならチャート式でひたすら演習と、学力の土台を築くことが第一です。そのチャンスはこの時期までしかなく、秋や冬に取り組んでも演習問題に時間を割かないといけないため、春先に基礎固めは終わらせることが大切です。
7~9月
夏に関しては基礎固めを完成させるとともに、模試の結果を踏まえて自分には何が必要で、何が足りていないかを理解して、その部分を強化していくような勉強が求められます。特に英語は、単語や語彙力が不足して点数が低いのか、単に演習問題の場数が少ないから苦戦しているのかで全く異なります。得点できない原因をこの時期につかんでおけば、あとはそこを補うだけです。
10~12月
秋になると基礎は終えているので、あとは演習問題メインに切り替えます。国公立大学を想定している人は二次試験で記述などがあればその練習も行っていきましょう。この時期の模試で最後の微修正を行うことになるので、この時期の模試は真剣に臨み、足りないものがあれば早急にカバーして完成度を高めましょう。
12月~受験
この時期は共通テストが近づいており、共通テスト対策に全力を挙げます。共通テストになってからセンター試験時代とは違う形式で出題されやすいですが、積み重ねていくべき知識はセンター試験時代と変わりません。あとはどんな問題が来てもいいように共通テスト対策の参考書、問題集を活用して必死に取り組んでいきましょう。
大学受験の理想的な1日のスケジュール例を紹介
大学受験の勉強をするにあたり、どんな1日を過ごせばいいのか、その例をご紹介します。
平日(学校ありの日)
・6:00 起床
・6:00~7:00 前日夜に勉強した内容が定着しているか振り返り
脳が一番リフレッシュしているのは起きて間もない時です。前日の振り返りだけでなく、数学の問題など頭を使う問題を行うのにこの時間帯の勉強は最適です。
・7:00 朝食を食べて学校へ
・8:00 学校に到着し、スキマ時間を見つけて勉強する
地域によってこの時間帯に登校し朝学習をするケースがありますが、スキマ時間に英単語の暗記などを行っておくと効率的なスケジュールを立てられます。
・9:00~15:00 授業
・16:00~18:00 部活動
・19:00 帰宅
・19:30~21:00 夕食、風呂など
・21:00~24:00 勉強
3時間の勉強ですが、50分学習10分休憩を3セット行う感じにして、それぞれ別の事を行うなど工夫して勉強を行うのがいいでしょう。これで1日4時間の勉強は確保できます。
・24:00 就寝
土日(学校なしの日)
・6:00 起床
学校のありなしに関係なく起床時間を揃えた方がよく、リズムを崩さずに済みます。
・6:00~7:00 前日夜に勉強した内容が定着しているか振り返り
やる内容は学校がある日と変わらず、毎日のルーティーンにしていきましょう。
・7:00~8:00 朝食や身支度、部屋の掃除
朝ご飯を食べるとついついウトウトしがちですが、パジャマからすぐに着替える、部屋の掃除を行うことで勉強へのスイッチが入ります。
・8:00~12:00 勉強パート1
4時間断続的に勉強をするのではなく、50分学習10分休憩を4セット行うようにすると、集中して取り組みやすく、メリハリをつけやすくなります。10分休憩の時はスマホを見てもいいので、勉強とプライベートをうまく切り分けることができます。
・12:00~13:00 昼食
・13:00~15:00 勉強パート2
・15:00~16:00 休憩
あえて1時間の休憩にしているのは時間調整の部分が大きく、昼食後の勉強の最中についつい眠くなった時に間髪入れずに仮眠をとり、その分をこの休憩時間で消費することができます。
・16:00~18:00 勉強パート3
・18:00~19:00 自由時間
外に出て運動する、買い物をするなど自由に使える時間です。
・19:00~21:00 夕食や風呂など
・21:00~24:00 勉強パート4
ここまでで12時間の勉強が行えます。睡眠時間を確保し、自由時間も与えながら余裕を持たせながら12時間の勉強が行えるのがポイントです。
・24:00 就寝
長期休暇中
・6:00 起床
・6:00~7:00 前日夜に勉強した内容が定着しているか振り返り
長期休暇中の場合、土日の勉強時間と少なくとも同じか、それ以上の勉強時間が必要なので、土日とほとんど差はないですが、より切り詰めて取り組んでいくことになります。
・7:00~8:00 朝食や身支度、部屋の掃除
・8:00~12:00 勉強パート1
・12:00~13:00 昼食
・13:00~19:00 勉強パート2
長めの休憩や息抜きの時間は適宜とる形にし、まとまった時間を作らずに組み立てていくのがいいでしょう。そうすることでより集中して取り組むことができます。
・19:00~21:00 夕食や風呂など
・21:00~24:00 勉強パート3
勉強時間は土日よりも多くなり、より濃厚に勉強が行えます。これが当たり前になれば、受験直前の時期も難なく乗り越えることができるでしょう。
・24:00 就寝
大学受験の勉強スケジュール(計画)を立てる際のポイント
勉強の計画、スケジュールを立てる際にどんなことに気を付ければいいのかを解説します。
明らかに無謀な計画は立てない
ドラゴン桜のように偏差値30台から東大を目指すという目標はなかなか大変であり、無謀と言われても仕方ありません。無謀な計画を立て実現にかなりの困難が予想される場合、無理に遂行して体調を壊す可能性も出てきます。なぜその志望校にしたのか、明確で揺るぎのない理由を作らない限り、無謀な計画は立てるべきではないでしょう。
共通テストを解いて足りない部分を理解する
前年の共通テストを解いてみて、今の実力でどれだけできるかを確かめましょう。明らかに語彙力が足りない、時間が足りない、ミスが多いなど色々なことに気づくはずです。模試なども受け、足りない部分を痛感すればおのずとその部分を埋めようと必死になります。足りない部分を探してそれを埋めていく作業が必要です。
時間ではなく量で考える
先ほど1日のスケジュールについて例をご紹介しましたが、時間も大事ですが勉強量で計画を立てるのが理想です。この勉強量をこなすにはこの時間が必要という具合に組み立てていくので、勉強時間ありきではなく、あくまでも量が重要です。もし量をこなして時間が余れば、別の勉強を行って有効活用すれば問題はありません。
息抜きの時間は必ず設ける
断続的に勉強し続けることは得策ではなく、集中力が切れるだけでなくただ勉強をしているだけの状態になります。息抜きの時間は必ず設ける必要があり、それがないスケジュールは効率的なスケジュールとは言えません。最初はやる気があっても、段々ときつくなり投げ出してしまうことにもつながります。学生の仕事は勉強なんてことを考える人もいますが、仕事には必ず休憩があります。勉強でも同じことが言えるでしょう。
修正は柔軟に行っても問題なし
一度決めたことは変えない方がいいとよく言われ、志望校に関しては確かに変えない方がいいでしょう。しかし、計画に関しては柔軟に変えても問題はなく、修正はするべきです。例えば、勉強量をこなすのに時間が足りないことも出てくれば、意外と順調に行き過ぎてやることがなくなりつつある場合もあるでしょう。臨機応変に修正することは大切です。ただ志望校や目標点数、目標偏差値を変えるような修正はできるだけ避けましょう。
なぜ大学受験では計画を立てる必要があるのか
そもそもなぜ大学受験で計画を立てておく必要があるのか、その根本的な部分を解説します。
計画(スケジュール)により学習効率が上がるから
計画を立てることで、何をやるべきか、何をやらなくてはならないかが明確になります。志望校合格のためにはこれくらいの偏差値が必要で、そのためにはこれだけの知識をつけないといけないといった逆算で物事を考える場合、無計画では管理がしにくく、細かな計画が立てにくいです。計画を立てることで管理がしやすくなり、学習効率が上がります。
計画を立てるメリットとは?
進捗状況がわかる
計画を立てて実行することで、どこまでできたかが一目でわかります。成績アップのためにはこれだけの量をこなさなければならないというのがどの科目にも存在し、それをこなすのにどれだけの時間がかかるかが可視化されます。まだまだかかりそうであれば多くの時間を割けばいいですし、達成しそうであれば別の勉強に時間を回すこともできます。
自信につながる
計画を立てて実行していくと「受験勉強をこれだけこなした」というものが目の前に見えます。すると、これだけのことをやったのだから大丈夫!という意識になり、自信につながります。これが無計画にやると、本当に大丈夫だろうかと不安になりますが、ここまでのことをしたという事実がこの場合、とても大きいのです。
本気度を周囲に伝えられる
これだけの計画を立てて実行し続けているというのが家族などに分かってもらえれば、多少無謀な挑戦でも家族は応援をしてくれます。受験勉強で家族からの応援ほど力になるものはありません。本気で挑んでいる姿を周りに見せれば必ずサポートをしてくれるようになります。
まとめ
受験勉強をするにあたって、勉強スケジュールを立てることはとても大事なことであり、これがあることで誘惑に負けず、強い意思を持って勉強に取り組めるようになります。やるべきことを明確にし愚直に挑み続ければ、成績は伸びます。それを自分で管理し厳しくチェックしていく経験は受験勉強だけでなく、人生においても役立つはずです。