アダプティブラーニングとは?メリット・デメリットやアプリ・サービスをご紹介

アダプティブラーニングとは?

アダプティブラーニングとはどのような学習のことを言うのでしょうか。

アダプティブラーニングの定義

アダプティブラーニング(Adaptive Learning)は、日本語に訳すと「個別最適化学習」となります。その名のとおり、学習者一人ひとりに合わせた学習を指します。

従来は、大勢の学習者に対して画一的な教育を施すのが一般的でした。学校の授業でも、中心となるのは教師であり、子ども一人ひとりの理解度や習熟度とは無関係に授業が進められていました。

確かに、この方法は大勢に教育を提供するうえで効率的な方法です。しかし、学習の進捗が芳しくない生徒は置いて行かれ、反対に理解の早い生徒は周りに合わせて学習ペースを落とさなければならないなど、問題点も多く含んでいました。

一方、アダプティブラーニングでは学習者一人ひとりに焦点を当て、その人に合わせた教育を提供します。以前は効率の観点から難しかったアダプティブラーニングですが、IT技術の進歩により実現できるようになっています。

アダプティブラーニングと関連性のある用語

最近では学習方法についてさまざまな用語が使われています。そこで、アダプティブラーニングと関連性のある用語を紹介します。各用語の意味と関係性を把握しておきましょう。

eラーニング

コンピュータやインターネットを利用した学習方法の総称です。総称であるため、具体的にどのような勉強方法を指すのかは定まっていません。たとえば、動画投稿サイトで学習コンテンツを閲覧する行為も、コンピュータとインターネットを利用しているためeラーニングに該当します。

ただし、多くの場合は企業や学校などにおいて、教育者が学習者に対して学習コンテンツを提供するケースを指します。動画やテキスト、音声などの教材をインターネットを介して提供し、学習者がそれをパソコンやスマートフォンで閲覧・学習するのです。

アダプティブラーニングは、eラーニングだからこそ実現できるようになっています。教室での講義と異なり、コンピュータ上で学習者の理解度や進捗状況を容易に管理できるからです。

アクティブラーニング

アクティブラーニング(Active Learning)は文部科学省が提唱した考え方で、日本語に訳すと「積極的な学習」となります。講義のような指導者から学習者に対する一方通行の教育とは反対に、学習者一人ひとりが積極的に学習する学習形態を指す言葉です。

従来の学習形態からの脱却を目指す概念という意味では、アダプティブラーニングと類似しています。しかし、焦点が当てられているのが「個別最適化」か「積極性」かという点で両者は異なります。

アダプティブラーニングでは、従来の画一性からの脱却を目指し、学習者の多様性を考慮した学習を目指します。一方、アクティブラーニングでは、学習者がただ情報を受け取るだけでなく、ディスカッションなどを通じて自ら主体的に学ぶことを重視します。

ブレンデッドラーニング

ブレンデッドラーニング(Blended Learning)とは、eラーニングとオフラインでの学習を組み合わせて行う学習形態のことです。

従来の学習方法のデメリットを克服するために、IT機器を用いたeラーニングが注目されていますが、従来の方法がデメリットばかりというわけではありません。両方にメリットとデメリットがあるのです。

そのため、両者を適切に融合させてメリットを活かし、デメリットを補い合えるような学習形態が理想と言えます。そして、その理想を目指すのがブレンデッドラーニングです。

たとえば、事前にeラーニングで予習をしておき、その内容を踏まえてオフラインの環境でグループディスカッションやプレゼンテーションを行うといった学習が該当します。

ゲーミフィケーション

ゲーミフィケーション(Gamification)とは、ゲームの要素をゲーム以外の分野へ取り入れることです。ここで言うゲームの要素とは、課題の達成により自分のレベル(達成度の指標)が上がったり、プレイヤー間で交流したり競争したりすることを指します。

今や、ゲームは一般的な娯楽の1つとなりました。子どもたちだけでなく、スマートフォンで大人もゲームを楽しむようになっています。これほどまでにゲームが人を魅了するのには理由があります。システムやデザインの至るところに、人を惹きつける工夫が施されているのです。

そして、こうした工夫を他の分野に応用すれば、モチベーションを高められるのではないか、という考えからゲーミフィケーションが誕生しました。特に、教育分野への応用が期待されています。課題を達成するとポイントなどの目に見える報酬が得られるようにするなどして、学習者の意欲を引き出します。

アダプティブラーニングの歴史や今後の広がり

アダプティブラーニングそのものの歴史はまだ長くありません。2016年頃に学校教育で取り入れられ始めたのが最初と言われていますが、企業研修の場での導入は日本では始まったばかりです。しかし、アダプティブラーニングの基盤であるeラーニングという概念は2000年頃に誕生していました。

一方で、「個人最適化された教育を実現したい」という願望は、どの教育現場でも存在していました。大勢に教育を施していると、学習者によってどうしても理解度・習熟度に差が生じてしまい、その是正が長年の課題でした。

こうしたニーズとeラーニングの普及が組み合わさり、アダプティブラーニングという概念が誕生しました。今では、文部科学省もIT技術を活用したアダプティブラーニングを推進しています。

IT技術は日進月歩で、かつニーズもあるのですから、これからアダプティブラーニングは普及していくでしょう。すでにアメリカや韓国では教育のIT化が目覚ましく、新しい学習手法が意欲的に取り入れられているといいます。

アダプティブラーニング市場の成長性

Report Ocean社によると、世界のアダプティブラーニング市場は、2020年から2025年約22%のCAGR(年平均成長率)で成長し、約55億ドルにまで達成すると予想されています。

その背景には、アダプティブラーニングに対する世界的な需要の増加があります。単に人々のニーズがあるだけでなく、政府もそれを後押しするなど、大規模な需要の増加が見込まれています。

また、矢野経済研究所によると、2020年度の国内eラーニング市場規模はペースを落としつつも拡大を続けています。さらに、eラーニングにおけるAIの活用も広がってきており、その適用対象にはアダプティブラーニングも含まれるなど、アダプティブラーニングの市場拡大を予期させるデータが多く出てきています。

参考 Report Ocean:https://www.reportocean.com/industry-verticals/details?report_id=BWC113&cat_title=Other
矢野経済研究所:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2702

アダプティブラーニングの効果・メリット

続いて、アダプティブラーニングの効果・メリットを紹介します。

学習効果の向上

大勢が一堂に会して同じ授業を受けると理解度に差が生じます。これ自体は、人間が一人ひとり得意不得意を持つ存在であることを考えれば自然なことです。

問題は、理解度の差に対してどう対処するかということです。教師から学習者に対する一方通行の授業では、この差は完全に置き去りにされます。結果として、授業に付いていけない学習者は挽回のチャンスを得られることなく、どんどん周囲との差を拡大することになります。授業を聞いていても得られるものは少なく、時間を浪費するばかりとなるでしょう。

一方、アダプティブラーニングであればそのような無駄はありません。苦手が発覚した段階で、その学習者に最適化された学習を提供できます。AIなどを駆使して学習者の得意不得意を把握し、それに応じた学習コンテンツを提供することで、費用対効果を最大限に高められます。

ビッグデータの分析による知見の獲得

アダプティブラーニングでは、一人ひとりの得意不得意を把握するために、すべての学習者のデータを収集します。こうして集められたデータは、教育について知見を獲得するうえでも有益です。

たとえば、数学が得意な生徒の勉強方法に共通点が見つかったとしましょう。その共通点を深掘りし、数学が苦手な生徒の勉強方法にも取り入れられるようにすれば、より良質な学習が実現するかもしれません。

従来は、こうしたフォローは教師の仕事でした。しかし、一人の教師が大勢の生徒を相手にするという形式上、密接なフォローには限界があります。その点、AIを含むIT技術が発達した現在であれば、こうしたデータ分析と活用を無理なく行えます。

教材の品質向上

アダプティブラーニングは基本的にeラーニングを通じて行います。オンライン上で学習コンテンツを配信し、学習者がそれにアクセスする形で勉強を進めるのです。結果的に、どの学習コンテンツがどの程度利用され、それがどのくらいの効果をもたらしたのかというデータも得られることになります。

このデータは教材の品質向上に役立ちます。あまり閲覧されていない教材や、利用されているにもかかわらずテストの結果に結びついていない教材などをあぶり出すことが可能です。成果に結びつく教材とそうでない教材を比較すれば、改善すべき点が明らかになるでしょう。

教育の均質化

すべての学習者にむらのない教育を提供することは、多くの教育現場にとって大きな課題です。ところが、教師も人間である以上、人によって質にばらつきが生じます。結果として、優秀な教師に学んだ人は力をつけ、そうでない学習者は学習が遅れるなどの差が生じることがあります。学習者間の差を是正するには、まず教師の間にある差を埋めなければなりません。

その点、アダプティブラーニングであれば、客観的なデータに基づいて教育プログラムを構築できます。教師の主観を排除し、データに基づいた教育体制を構築することで、教育の属人化を防げるのです。

能動的な学習の促進

勉強はインプットとアウトプットに分けられます。まずインプットをし、続いてアウトプットをすることで、インプットした知識への理解を深めるのが一般的な流れです。

しかし、従来の学習方法はインプットにばかり焦点が当てられがちでした。単に知識偏重の価値観があっただけでなく、アウトプットにまで充分な余力を残しておけないというリソースの問題もあったからです。

しかし、アダプティブラーニングで知識のインプットを効率化できれば、多くの時間と体力をアウトプットに割けるようになります。結果として、学習者に活きた知識を身に付けさせ、それを生活や職務で活用する能力を習得させられます。

アダプティブラーニングの限界・デメリット

アダプティブラーニングにあるのはメリットばかりではありません。次はデメリットを紹介します。

環境の整備が必要

アダプティブラーニングのメリットを活かすには、ICT環境が整っていなければなりません。eラーニングを前提としているため、指導者・学習者ともにITシステムを利用できる環境でなければならないのです。

ところが、日本の教育現場ではまだICT環境が充分に整備されていません。地域による格差も大きく、全国に均質な教育を提供できるようになるまでには、まだ長い期間が必要でしょう。

社員教育への導入が難しい

アダプティブラーニングではデータに基づいた客観的な教育を提供します。当然ながら、そのためには十分なデータが得られなければなりません。

学校教育であれば、大勢の生徒からデータを得られるため問題ないでしょう。しかし、社員教育の場合は企業ごとに学習内容が異なるため、データを集めるだけでも大変です。結果として、社員教育への導入はまだあまり進んでいないと言われています。ただし、営業職や事務職など、企業によって業務の本質が変わらない職種であれば活用性は高いと言えます。

体を動かす学習には不向き

これはアダプティブラーニングに限らずeラーニング全体について言えることですが、体を動かす学習には向いていません。たとえば、ディスカッションやロールプレイ、ビジネスにおける名刺交換や電話応対などの練習には不向きです。予習・復習は可能ですが、オフラインでの実践を組み合わせて学習する必要があるでしょう。

アダプティブラーニングを用いた国内外の代表的なアプリ・サービス10選

アダプティブラーニングを導入するには、eラーニングサービスを利用するのが一般的です。そこで、国内外の代表的なアプリ・サービスを紹介します。

国内のアダプティブラーニングアプリ・サービス事例

日本国内のアダプティブラーニングアプリ・サービスを5つ紹介します。

CoreLearn

凸版印刷株式会社が提供する企業向けサービス。学習者の解答に応じて適切な問題を表示し、丸暗記だけでは突破できない地に足のついた学習を実現します。また、マルチデバイスに対応し、スマホやタブレッドなどで気軽に勉強できます。

すらら

株式会社すららネットが提供する学校教育向けのサービス。小学生から高校生まで対応しています。「無学年式」を標榜し、学年を問わず学習進捗度に合わせて自由な学習を実現します。経験豊富なコーチが一人ひとりに合わせてカリキュラムを設定し、丁寧なサポートを提供します。

Classi

ベネッセホールディングスとソフトバンク株式会社の合弁子会社であるClassi株式会社が提供。学校教育向けのサービスで、すでに3,000校以上で導入されています。ベネッセが保有する、学習についての膨大なデータに基づき、個人最適化された課題が提示されます。

Qubena

株式会社Compassが提供。学校教育向けのサービスで、タブレット端末で利用できます。AIを利用したサービスで、使えば使うほど分析の精度が向上し、個人に最適化された学習コンテンツが提示されます。

資格スクエア

株式会社サイトビジットが提供。資格取得向けのサービスで、弁護士や司法書士などさまざまな資格に対応しています。受講者の学習ログなどに基づき、学習者一人ひとりに合わせて出題します。

国外のアダプティブラーニングアプリ・サービス事例

続いて、海外のアダプティブラーニングアプリ・サービスを5つ紹介します。

Udemy

アメリカのUdemy社が提供するサービスです。日本でのサービス展開は株式会社ベネッセコーポレーションが担っています。ビジネススキルやプログラミングなど、幅広い学習コンテンツが勢ぞろいです。法人向けのUdemy for Businessでは、社員一人ひとり、あるいは部署や部門ごとに学習の道筋を決められます。

Cerego

アメリカのCerego社が提供する学習プラットフォーム。エビングハウスの忘却曲線を始めとした科学的知見と、学習者一人ひとりの状況を独自のアルゴリズムで分析した結果に基づき、最適な学習コンテンツを提示します。

Knewton

アメリカのKnewton社が提供。本人の目標や学習履歴に対し、心理統計学(サイコメトリクス)項目応答理論や認知学習理論を応用して高い学習効率を実現するサービスです。世界中で4000万人以上もの人々に利用されてきました。

Knowre Math

Knowre社が提供する数学に特化した中学生向けサービス。独自のアルゴリズムに基づき、生徒が間違えやすいポイントを分析し、適切な問題を提示します。ゲーミフィケーションが取り入れられ、子どもたちの意欲を引き出しながら数学を教えられるのが特長です。

Lexia Reading Core5

Lexia Learning社が提供する英語学習サービス。ゲーミフィケーションの手法を取り入れるとともに、個別最適化された学習パスを提供します。そして、指導者はテストを実施することなく生徒の学習進捗状況を把握でき、豊富なコンテンツを利用して生徒を指導できます。

まとめ

従来はリソースの観点から実現が難しかったアダプティブラーニングですが、eラーニングの普及によりそれが現実的になっています。授業のカリキュラムから取り残される学習者に適切なフォローを提供することで、より均質な教育が実現するでしょう。さまざまなアダプティブラーニングサービスが提供されているため、導入を検討してはいかがでしょうか。

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