短期記憶とは何か?短期記憶から長期記憶にする方法も解説

短期記憶とは何か?

心理学において、記憶はそれが保持される時間によって、長期記憶と短期記憶に分けられます。ここでは短期記憶について詳しく見ていきましょう。

短期記憶のメカニズムとは?

短期記憶は、一時的に情報を保存する場所として機能します。あくまで一時的な保管場所であり、必要がなくなった情報はすぐに忘却されるのが特徴です。どのような情報でも、外部から取り入れられたらまずは短期記憶としてわずかな間のみ保存されます。容量があまり置きくないため、少量の情報しか保持できません。

しかし、何度も同じ情報を反復的に短期記憶に保存すると、それは短期記憶から長期記憶へと移されます。初対面の人の顔はすぐに忘れてしまっても、何度も合って仲良くなった人の顔を忘れることがないのはこのためです。

記憶の種類って?

前述したように、心理学において記憶は保持される時間の長さによって長期記憶と短期記憶に分けられます。しかし、これらはさらに記憶の内容によって次のように細かく分類されています。

作業記憶

これは短期記憶に該当する記憶です。短時間保持され、何らかの作業のために使われる記憶を言います。たとえば、電話をかける際にメモを見て番号を覚え、それを電話に入力する際は、電話番号が作業記憶として保持・活用されています。

以下は、すべて長期記憶に含まれる記憶です。

陳述記憶

その名のとおり、言葉にして表現できる記憶のことです。宣言記憶とも呼ばれます。一般的に、記憶という言葉から想起されるのはこの陳述記憶です。

陳述記憶は、さらに意味記憶とエピソード記憶に分類されます。

意味記憶

意味記憶は、一般的に知識と呼ばれるものです。「日本は島国である」「夏は暑い」「バラはきれい」など、必ずしも客観的なものではありませんが、本人が一般的な知識として保有している記憶を言います。言葉や物事の意味、概念、様子など、生活に必要な記憶として保持されます。

エピソード記憶

意味記憶とは対照的に、知識ではなく個人的な体験に関する記憶です。思い出と表現したほうが分かりやすいかもしれません。「昨夜はお寿司を食べた」「小学生の頃よく虫取りをした」「2月1日に犬を買った」のような、具体的なものが該当します。

エピソード記憶は、非常に情報量の多い記憶です。たとえば、昨夜食べたものを覚えていたとすると、それは食事の内容だけでなく、その時誰と一緒にいたのか、何時頃だったのかなども一緒に保存されます。

しかし、やがて周辺的な情報は欠落し「お寿司は美味しい」「我が家はだいたい19時ごろに夕食を食べる」のような意味記憶に変わっていきます。

非陳述記憶

陳述記憶とは対照的に、言葉で表現できない記憶のことです。手続き記憶とプライミング記憶に分類されます。

手続き記憶

これは、いわゆる「体で覚える」タイプの記憶のことです。具体的には、自転車の乗り方や泳ぎ方などが該当します。

陳述記憶と異なり言葉では伝えられない反面、一度覚えたらなかなか忘れないのが特徴です。頭では忘れたと思っていても、実際に体を動かしたら覚えていたということは珍しくありません。

プライミング記憶

プライミング記憶は、前に入力された情報が、その次に入力された情報に影響する場合の記憶を言います。

たとえば、「ピザ」と10回言った後に、「ひじ」のことを間違って「ひざ」と言ってしまう場合が該当します。本人は意識していなくても、ピザという情報が頭の中に残っていて、それが影響を及ぼしているのです。ピザやひざそのものは陳述できますが、無意識の記憶の働きは言葉で表現できないため、非陳述記憶に分類されます。

短期記憶障害とは?

記憶が抜け落ち、さらにそのことを自覚できないことを記憶障害と言います。たとえば、「何を買いにスーパーに来たんだっけ?」というのは、本人の自覚があるためただの物忘れです。しかし、一度話したことを、その自覚もなく何度も話したりするのは記憶障害に該当します。そして、記憶障害にはいくつかの種類があり、そのうち短期記憶に問題が生じる場合を短期記憶障害と言います。

たとえば、つい先ほど食事をしたことを忘れたり、聞いたことをすぐに忘れてしまうせいで会話が成立しない場合が該当します。

短期記憶の例

短期記憶は、具体的にどのような場面で発揮されるのでしょうか。

会話

会話をするには、その流れを覚えておかなければなりません。相手の質問に答えるには、まずその質問の内容を頭に入れたうえで、それへの回答を頭の中で組み立てなければならないのです。これは短期記憶の働きにほかなりません。

暗算

56×4という暗算をする際、どのように計算しますか。多くの人は、まず6×4によって24という答えを獲得し、次に50×4を計算して得た200と足し合わせることで、224という答えにたどり着くのではないでしょうか。

紙に書いて計算をする場合は覚える必要はありませんが、暗算で行う際は、24を一時的に覚えたまま200を算出し、足す必要があります。これも短期記憶が働く日常的な例と言えます。

料理

料理にはいくつものプロセスがあります。一品を作るだけでも多くの工程があるのですから、複数の品を効率的に作ろうと思ったら、適切な段取りを考える必要があります。そして、実際に作業を行う際には、今自分がどのプロセスにいるのか、そして次は何をしなければならないのかを覚えておかなければなりません。これも、短期的に必要な知識であり、料理が終わった後には忘れて良いものであるため、短期記憶の一例と言えます。

短期記憶を鍛える方法

短期記憶は仕事や日常生活で欠かせない能力です。そのため、積極的に鍛えて記憶を保持できる時間を拡大したり、覚えられる容量を増やしたいと思う人は多いでしょう。

情報を区切る

短期記憶が上手な人は情報を上手に区切っています。容量を増やそうとするのではなく、限られた容量の中に綺麗に情報を入れられる能力を獲得しているのです。

たとえば、いきなり14桁の番号を覚えろと言われたら難しいかもしれません。しかし、これを7桁ずつに区切れば負担が小さくなります。電話番号を2つ覚えるのと同程度の負担です。

楽器を演奏する

昔から、楽器を演奏する人は記憶力に優れていると言われていました。実際、ミュージシャンの中には記憶力に長けた人が多いそうです。理由としては、楽器の演奏には五感をすべて活用する必要があり、これが脳の働きを良くするのだと考えられています。

具体的に何をどの程度演奏すれば短期記憶が向上するのかといったデータはありませんが、趣味の一環として始めても良いかもしれません。

短期記憶から長期記憶にする方法とは?

先述したように、短期記憶は反復することで長期記憶に変換できます。では、これについて詳しく見ていきましょう。

エピソード記憶の活用

エピソード記憶は具体的な思い出に該当する記憶で、これはやがて意味記憶として定着する点は先ほど解説しましたこの仕組みを活かせば、効率的に長期記憶を身に付けられます。

覚えたいことを特定のエピソード記憶に結び付けましょう。たとえば、英単語をおぼえたいのであれば、自分の体験をその英単語で表現してみましょう。それが忘れられないような体験であれば、その記憶と結びついた英単語もエピソード記憶として残り、それがやがて意味記憶として定着します。

アウトプット

短期記憶が長期記憶に変換される際、必要性に応じて選別されます。脳が必要だと感じた情報は長期記憶に移され、そうでないものは消去されるのです。つまり、短期記憶を長期記憶に変えるには、脳にその必要性を感じさせなければならないということです。

そのための最も基本的な方法が、情報を使うことです。覚えたことを何度も口に出したり、試験の問題を解いたりして知識を活用しましょう。この反復こそが、もっとも基本的で確実な記憶方法です。

長期記憶にしやすい時間帯はある?

長期記憶しやすい時間帯があることが、東京大学大学院理学系研究科の研究によって明らかになりました。マウスを用いた実験により、時間帯によって長期記憶の定着度に差があることを突き止めたのです。

研究の結果、マウスは活動期の最初の頃にもっとも長期記憶を形成しやすくなることが分かりました。そして、この事実は人間にも当てはまるとのこと。

人間の場合は活動期は昼であるため、その最初の頃ということは起床してから昼までの時間と言うことになります。一般的な人であれば、職場や学校に到着し、活動を始める頃の時間帯と言えるでしょう。この時間帯に新しいことを学ぶのが、長期記憶の形成に有利ということになります。

参考:https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2016/5035/

好奇心と記憶には深い関係がある

何事も興味を持つことが大事であると、子供の頃に言われたことがある人は少なくないでしょう。興味がなくても学ぶこと自体はできますが、好奇心を持った方が記憶の定着には良いことが分かっています。

その秘密はドーパミンにあります。これは快感をもたらす神経伝達物質です。わくわく・どきどきするような体験をすると、脳内でドーパミンが放出されます。そして、放出されたドーパミンは受容体に受け取られます。これが、人が快感を感じるメカニズムです。具体的には、楽しいことをしたり、人から褒められたりするとドーパミンが放出されます。

そして、このドーパミンはただ楽しい気分にしてくれるだけでなく、記憶を強化すると言われています。また、楽しければ楽しいほどまた同じことをしたいと思えるので、反復を強化するという意味でも記憶を助けると考えられます。

まとめ

短期記憶とは、数秒から数十秒程度頭に保持される記憶のことです。そのままではすぐに忘れられてしまいますが、反復によって長期記憶へと移すことができます。また、時間帯を工夫したり、好奇心を抱いたりすることで長期記憶への移行が促進されることも分かってきています。短期記憶への理解を深め、日々の生活や勉強、仕事の中で活かしていきましょう。

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